ウルリカエンディング後
ちょっと短め ちょっとアレな感じ
お題こちらから(10連CP本タイトル)
https://shindanmaker.com/1105535
2022/4/21脱稿
気怠い体をベッドに沈ませながら、ウルリカはじっと部屋の扉へと視線を向ける。
徐々に近付いてくる足音。そしてゆっくりと開いた扉からグラスを二つ手にしたロゼが姿を現した。
「ほら、水」
差し出された一つを受け取ろうとするが、どうにも体が動かない。力なく持ち上げた腕は再びベッドに戻ってしまった。
何も言わないが明らかに動きが鈍いウルリカに、ロゼはグラスを引き戻し、ベッドサイドに腰掛ける。
そして持っていたグラスの片方をサイドテーブルに置き、ウルリカに渡そうとしていた方を口元で傾ける。
なんだ自分に持ってきたのではなかったのか、とぼんやり考えているとロゼが黙ったまま覆い被さってきた。そのまま唇を寄せる。開いた口の隙間から流れ込んでくる冷たい水。
驚いて体を押し返そうとしたが力が入らない。何か文句を言いたいが唇が塞がれているためそれも出来ない。
そしてそれ以上にカラカラになっていた喉が潤される感覚が心地よい。しばしその心地良さに身を委ねていると、全部渡し終わったのかロゼが離れる。
「……なにすんのよ」
随分と枯れた声が出た。先程水を飲んだとは思えないほどだ。
「自分で飲めないほど無茶させたみたいだからな」
意地悪く上げられた口角は挑発だろうか。いつもなら掴みかかって喧嘩にしているところだが、そんな元気は欠片も残っていない。お陰様で乾いていた喉も潤った。
重たい体で寝返りを打ちロゼに背を向ける。嫌いじゃない倦怠感が全身を包んでいる。このまま目を閉じればすぐに夢の中へ行けそうだ。
「寝るのか」
「うん……」
回らない頭で返事をする。
瞼がゆっくりと落ちてくる。これに抗う術をウルリカは知らない。
背後でベッドが沈む感覚があったが、一度閉じてしまった瞳はもう開くことを拒んでいる。
背中に他人の温かさを感じながらウルリカは意識を手放した。
瞼を下ろしてしまったウルリカの横で、ロゼはその長い金糸をゆっくりと梳いていた。
所々傷んでいるが、特別な手入れをしてない割には綺麗だと思う。ロゼが時々見兼ねてケアをすることもあるが、基本的にウルリカの体れば雑だ。
安らかな寝息は彼女が無事に夢の世界へ旅だったことを示している。
外気に晒されている素肌には赤い痕が散らばっている。紛れもないロゼの仕業だ。
また明日、ウルリカが起きてこれを確認したら怒られるだろうか、と考えるが、それも悪くないと思ってしまうのだから大概だ。
愛しい彼女の横顔を、上から覗き込むように見つめる。
そして先程と同じようにそっと唇を顔に寄せ、頬にキスを落とす。
「おやすみ、ウルリカ、」
名前の後に続けた言葉はきっと彼女には聞こえていない。それでいいのだと、ロゼは満ち足りた気持ちで彼女を包むように目を閉じた。